訪問4コマ漫画㉙「古い、アルバムのなかーーにーー。byH2O」
先日、リハビリ中にご家族からふるーーい写真を見せてもらう機会があった。
セピア色の古い写真だ。
一枚一枚大事にアルバムに貼られ、一言添えられてある。
服装や仕草からも時代を感じ、映る一人一人の表情から今にも声が聞こえてくるようなそんな写真。見れば見るほどついつい興奮してしまい、うっかりリハビリの時間を忘れ見入ってしまった私であった。
私は携帯電話を待つようになってから、写真はもっぱら携帯でパシャリ。現像することもなくずーっと携帯の中に保存されたままの私の想い出たち。
ちょっと、整理しないとなーと思うのであった。
訪問リハビリに携わるようになり私が大事にすることは、一人一人の人生だ。
訪問リハビリに従事して間もない頃、当時の指導者は私にこう教えてくれた。
「いかに情報を得て、どう整理するかが大切だ」と。
その時はふーーん。くらいにしか思ってなかった。
しかし、訪問リハビリを進めるにあたり、いわゆる「うまいセラピスト」というのはリハビリの技術はもちろんのこと、情報を引き出すのも上手くその情報を日々のリハビリに活かしたり、利用者、家族、ケアマネなどの関係各所とのコミュニケーションに使い、ザ・上手い!というのがわかった。
よく訪問リハビリのテキストに、家に入ってからが評価、アセスメントの始まりだと記載されている。今はお目にかかることが少なくなってしまった昭和のお土産の定番「ペナント」をみては話のタネにしたり。壁に飾った賞状もその一つ。綺麗に並べられた食器棚からもその人の人生を垣間見ることができる。
私は、学校ではいわゆる身体的評価、病気の事しか習ってこなかった。
私はそれが理学療法士として全てでありそれ以上なにか必要か?とも思っていたが、すぐさま壁にぶち当たる。
いま目の前にいる利用者様とリハビリするだけでは前に進めないのだ。
当たり前のこととだが、当たり前のことすぎて全くノーマークであったといえよう。
好きな食べ物しかり、どんな生活をしてきたか?どんなことに興味を持ってきたか?どこに旅行に行ったか?突き詰めれば結婚の馴れ初めまで。
そんな情報を交わすにつれて関係性はできるし、生きる動機を見つけることもできる。
効果的なリハビリはこんな些細な情報から生まれることもできる!
さてさて、写真をみながら感動している私。
「このひと誰ですかー?」
おもむろに発してしまった発言に、深く後悔する。。。
「それね、、、、若い時の私。いまは太っちゃって見る影もないけどね。。。」
やってしまった。
凍りついた空気が漂う。。。
皆さん、古い写真を見る時は気をつけよう。。。
想い出のなかに地雷があることを。
そう心に誓うのであった。
2023.05.11