訪問4コマ漫画㉞「屋外歩行練習には目的を!」
秋になった。いや、やーーっと秋になったといえよう。
金木犀の香りを感じ、空の青さを見る余裕も出るこの頃。訪問業務を生業としてる者としては1番最高の季節ではなかろうか?
えっ?春もいいって?
私は花粉症なので、春の訪問はある意味地獄なのです。
さて、リハビリを提供する私としては、この季節は利用者様たちを外に連れ出すのにうってつけの季節。
「暑くて〜。」「寒くて〜。」という利用者様のイヤヨ!!イヤヨ!!発言も通用しない季節だからだ!
あんなに上手い理由をつけて外に出ることを拒んでいた方も、ついつい外に出たくなる季節なのだ。
さて、屋外歩行推しの私だが、
「そんなに屋外歩行練習は効果があるのか?」
と思う方もいるだろう。
屋外歩行練習の効果はきっと科学的にも証明されてるとは思うが、私は以下3つに重点を置いている。
①運動能力、バランス機能への効果
②認知面への効果
③精神賦活、生活への刺激効果
である。
①は説明しなくとも想像つくであろう。家の中と違って外に出るということは、靴を履き替えたり、段差を昇降したり、対向車に気を遣ったりと多くの機能が必要となるのだ!
②は外に出ることで季節を感じたり、目から入る刺激がいつもとちがっていたり、すれ違う人と挨拶を交わしてみたり、とある研究でも屋外歩行練習が認知面の効果があったと示されている。
③に関しては、私が1番屋外歩行練習に期待することで、
外に行くとなれば、着替えるであろう、鏡を見るであろう。気持ちもスッキリするかもしれない。張り合いのない毎日に何か刺激ができると感じる。
とまぁ、あげればキリがないのだが、そー簡単に屋外歩行練習を実施できるかというと、そうでもない。
そこに目的があるか、否かは屋外歩行練習が成功するか否かの重大ポイントなのだ。
Aさんも言わずと知れた、外に行くのがイヤヨイヤヨタイプの方。歩行能力は見守りレベルのため、外を歩くこと自体は問題ないのだ。
しかし高齢者特有だろうか、何事にも対しても後ろ向きの、もーダメよタイプ。
家族としては歩けなくなるから、とAさんへ外歩きを促すもそこは負けてないAさんは「もうお迎えが来るから」と家族の提案は拒否なのだ。
実際は医師からむこう10年は大丈夫だとお墨付きにもかかわらず。
そんなAさんには屋外歩行練習を実施するにあたり、目的ならぬ役割を与えることを重視している。やや恩着せがましいかもしれないが、これが意外と効果テキメン!
・この手紙ポストに入れてきて。
だとか。
・○○取ってきて。
だとか。
特に用事がないときは、
「一緒に○○見に行こうとよぉ〜」
と甘え口調でお誘いしてみることも。
確かに本人自ら外に出る目的を見出せる方がいい。買い物に行くだとか、次は○○まで歩くだとか。しかし、自分のために動くというのは意外とスイッチが入らないもので、誰かのためにとなると、ポチッとスイッチが入るのだ。
今日もいい天気。屋外歩行練習にはうってつけだ。
Aさんは今日もイヤヨイヤヨの口調だ。
さて今日はどーやって外歩き誘おうか?
「金木犀の香りいい感じだから、行ってみない??」
「あたし、金木犀の香り嫌いだから、トイレの香りみたいで嫌なの」
地雷を踏んだ。
Aさんをデート(屋外歩行練習)に誘うための口説き方という独自のマニュアルに「金木犀は禁」と付け加えたい。。。
2023.11.09