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訪問4コマ㉒『在宅生活における多様性とは!?』

 

『多様性』ここ最近よく耳にする言葉だ。

ネットで調べると「ある集団の中に異なる特徴・特性を持つ人がともに存在すること」と書いてある。

私が多様性を語るには勉強不足であるが、在宅生活を支援する身として「多様性」は日々感じながらリハビリを行っているのが本音だ。そして「可能性」も感じながら支援させてもらっている。これまでコラムでも書いてきたように私が今まで出会ってきたご利用者様方は本当に個性豊かであり、人生そのものが色とりどりで、24色のクーピーでは描けないほどである。個性という言葉で片付けて良いのか?と思うほどだ。

 

Nさんも個性豊かなその1人。

出会った当時は90歳を超えていた。自宅内にて車いす自走生活。近所に息子様夫婦もいるが、共に住んではおらずお孫さんが一緒に住んでいた。お孫さんは仕事があるためおばあちゃんの介護にはほぼノータッチ。ちょっと言葉が悪いが、生存確認するくらいだったであろう。

 

初めて会った時、おや?なんて可愛いおばあちゃんなんだろう!と思った。なぜなら、90歳を超えたおばあちゃんが、なんと『ムームー』を着ていたのだ。ムームーと聞いてパっとイメージできない方は、花柄のワンピースとでも思ってもらっていい。明るい色柄のワンピース。ハワイのフラダンスを今にも踊り出しそうな感じだ。

私は理学療法士になり、かれこれ15年近くなるが、経験を重ねるにつれて、いわゆる『感』というものが積み重なった。それはとても便利であり良いことだが、『感』は時として『先入観』と変化し、大事なことを見落とす要因になると感じる。

 

「高齢者はこんなもんだ、この疾患はこんな感じだとついつい決めつけてしまうのだ。。」

 

Nさんは車いすでほぼ1人で生活。どうやって生活してるのか?と疑問に疑問を重ね、そしてムームーという出で立ちに、私は迷宮入りをしていたのだ。

訪問を重ねるにつれて少しずつその謎は解けていくのであるが、それでも「ほ、本当に?」と思ってしまうのだ。

・夜トイレに行く時はどうしてるの?

・ご飯はどうしてるの?

・寝る時はどうしてるの?

などついつい質問ばかり多くなってしまう。

 

大学を卒業して病院勤めを始めた頃、退院に向けリハビリを行なっていた時、当時同じ訪問リハビリチームの先輩から『生活を点ではなく線で見ないとリハはできないよ!』と指導を受けたことがある。トイレ動作練習、着替える練習など個々のADL練習は行ってきたが、その前後のつながりまで思考を働かせることができなかったことを思い出す。

いま在宅リハビリに従事して数年経つにつれ、生活を線で見ることができるようになったと感じる。しかし実際はそこに「個性」という、つまりそれぞれの人生、趣味嗜好が関わるのである。そりゃ頭を悩ませるに違いない。

いままでの私の話を聞いて、違和感を感じた方、「えっ?そんなに在宅生活に関わるのって難しい?」と思った方、今一度振り返って欲しい。ついつい自分の眼鏡をかけたままご利用者様と接してないかと?

あーしたほうがいい、こーしたほうがいい!というのは、知識と経験が生み出すものであり、それがご利用者様にとってもちろんプラスになる。

でもね、一呼吸つくことも忘れないで欲しい。それが、本当にご利用者様にとって最高の選択なのかと?

多様性を受け入れず(気が付かず)可能性までも潰していないかと。

 

よく、利用者様に『先生にお任せします。』なんて言葉をかけられることある。
信頼されてるんだー!なんて喜んでちゃダメじゃないか?と思う。
もちろん、リハビリはやりやすいかもしれない、あーして、こーしてとこちらがプランを立てれば従順に頑張ってくれる。それなりの成果が得られるだろう。しかしそれでいいのだろうか?

多様性を受け入れることも大事だが、多様性を引き出すことも私はこの仕事の醍醐味ではないかと思うのであって、、、

 

さて、謎大きNさん。
・夜トイレに行く時はどうしてるの?

の答えを聞きたかろう皆さん。

その答えはこれだ。
『夜寝るのが日付を超えてからだから、夜は1人でトイレに行くことはありません』

は、は、は。。。

年配者は早寝早起きだと決めつけてた私。

そうだよね、夜更かしするよね。

どんな深夜ドラマみてるのかな?

ますます謎は深まり迷宮入りするのであった。

2022.10.05

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