訪問4コマ漫画 47話
「真夏の思い出」
暑いったらありゃしない。
毎年、言ってますね。
だって、暑いんだもん。言わせてよ。
さてさて、この季節の訪問リハのプログラム内容は本当に頭を悩ます。
なぜなら、屋外歩行練習を実施することが命からがらなのだ。
訪問リハビリのプログラムの一つに、屋外歩行練習を取り入れている利用者は結構いる。
屋外歩行練習の目的は、安全に外にでるようになる!ということもそうだが、
今日も外を歩けた!という事実が、明日生きるための安心につながる方や
引きこもりの方を外に連れ出す!という名目で行うこともある。
しかし、今年もこの暑さだ。
屋外歩行練習を実施するか否かの見極めは非常に難しいところである。
ふと、屋外歩行に関してAさんもよく頑張ってたなーーー。と思い出す。
年配の男性の利用者様の傾向として、
・家族の言うことは聞かないが、先生(医者や看護師など)の指示には従順。
・一度決めたら、なかなか融通が効かない。(プログラムの臨機応変な変更ができない)
ところがある。
Aさんもその口で、リハビリの時間は一緒に外にでて公園を一周するってことがルールであった。
多少雨が降ろうがお構いなし。雨で前髪がヒタヒタになっても歩くのだ。
とある暑い日。
ミーンミーンとセミの声。
なんじゃこりゃと叫びたくなるような暑い日。
こんな日も暑さ対策をしっかりして屋外歩行練習をいつも通り実施した。
途中休憩を挟みながらAさんとお話しタイム。
普段寡黙なAさんは、この休憩タイムはほぼ私が一方的に話を(もう漫談といっていいだろう)聞いているだけ。
理解しているのか?してないのか?うんうんと合いの手だけくれる方であった。
この日も暑さ相まって、どーにもならない暑さへの愚痴をこぼす私。暑くて眉毛がなくなるだとか、ペットボトルの水がすぐにお湯になるとか、落ちのない話を繰り広げる。
そんな会話の最後に
「よく、こんなに暑いのにAさん、外歩き、頑張りますね。」
と声をかけた。
すると、普段寡黙なAさんが、、、
「あなたが来ないと、外歩けないから。」
と口を開いた。
普段口数の少ないAさん。
そっかーー。と私は思った。
屋外歩行練習も本人からやりたいというわけではなく、本人の能力を加味して提案したプログラムだった。
そして毎週屋外歩行練習をすることでなんとなくルーティン化してしまったプログラム。
慣れてしまったのは私の方で、そこに対してしっかりと目的を持って取り組んでいたのはAさんだった。
プログラム内容は変わらずとも、取り組む意思や目的は実は変わっていたりする。
本人の気持ちをその都度確認したり、本人から引き出せてなかったのは私の方だった。
Aさんも初めこそ、なんとなくリハビリスタッフの提案に対して同意し屋外歩行練習を開始しただろう。それが今では、リハビリの時間は外を歩ける時間と意味付けされており、強い目的を持って取り組まれていたのだ。
そっか。できる限り外を歩くことを取り組もう!と思った時間だった。
季節はすぎ、今度は寒い日のこと。
「今日はちょっと寒いけど上着着たら大丈夫だから、外いこっか?」
いつも通りの声かけをした。
するとAさんは
「寒いからやめる」
えっ。
あの真夏の炎天下ではへこたれなかったメンタルは、ちょっと木枯らし吹く寒い日には簡単に諦めにつながってしまった。
そかそか!そーだよね!
Aさんの気持ちを尊重しつつら、さて何しようかなー?と思うのを思い出した。
さぁ、まだまだ暑い日が続きそうだ。
あなたは真夏にどんな思い出がありますかぁ??
2025.08.23