訪問4コマ漫画㊿「『らしく』生きる。」
『あなたらしさ』ってなんですか?
急に問われた質問に、どれだけの人が答えることができるだろう。
私も自我は強い方だとは思うが、自分らしさとは?と問われると、ちょっと困ってしまう。
先日、信号待ちをしていると、後ろを電動車椅子で通行していったオジ様に目を奪われた。
それは8月の炎天下。
不要不急の外出は控えてくださいと言われているあの頃の出来事で
颯爽と私の後ろを駆け抜けた電動車椅子オジ様は
車椅子にうまく固定した日傘を指し、
イケてるサングラスに柄シャツ。
そして両手にはあのDAIGOバリの革手袋をつけて駆け抜けたのだ。
炎天下、暑さで脳の80%は機能停止してる私も心から『イカしてる』と呟いたのは忘れない。
どのような理由で車椅子を使っての生活に至ったのかわからないが、その生き様に拍手喝采。
そして、Sさんの葛藤も同時に思い出されるのであった。
Sさんは比較的いいお家柄の奥様であった。本人も予想だにしなかったであろう。急に、本当に急に脳出血を患ってしまったのだ。
なんで私が?
誰もが思う気持ち。
Sさんも強く、悔しく思っただろう。
Sさんは非常にプライドが高かった。
『なんでこんな身体になったのか?』Sさんはよく言っていた。
そしてそんなSさんは治ることにとてもこだわっていた。
元に戻りたい。切実な想いであった。
しかし、しっかりリハビリ病院(回復期病棟)で努力を重ねてきたが本人が望む形、身体での退院には至らなかった。
在宅に帰ってきたタイミングにてリハビリを継続したいという強い希望、治りたいという思いからリハビリがスタートしたのだ。
リハビリ開始当時Sさんはがむしゃらだった。
きっと病院ではできなくても家なら、慣れた環境ならできる。と思っていたに違いない。
それが思うようにいかず、また転んだりと失敗を繰り返し、その度落ち込み涙していた。
まだまだ花盛りであったSさん。友人の中にも同じような病気を患った人はおらず、お見舞いの人の言葉にも表面では笑顔で返すものの、「頑張って、、、なんて適当なこと言って、、、」
と友人さえも遠ざけようとしていた。
そんなSさんの姿を、頑張りを、行動をみて皆さんはどう思うだろう。
「いつまでも動かない手にこだわらず、できることやればいいのに。」
そう感じる家族。
頑張ってるのもわかってるからこそかけれない言葉もあるだろう。
Sさんは、とある会に着物をきて出席したいという気持ちを強くもっていた。
しかし、こんなみっともない姿を知り合いに見せるなんて、、、と相反する気持ちも強く感じていた。
完璧を求めていたSさん。確かに前と同じような立ち姿で会に参加することは難しかったが一つ一つ代替案を提示しながら本人と話し合ってきた。
この時、私が気をつけたことは、『できない』ではなく『できる』という気持ちを持ってもらうように関わったことだ。
この方法なら大丈夫よ。
これならきっと危なくないよ。
こーいうサポートあれば安心よ。
この道順で行けば車椅子でも大丈夫。
できるイメージを少しずつ持ったSさんは、完璧主義だったSさんはだんだん今の身体にあった方法を受け入れ、前向きに階段を登る練習や、自分が考える案(この身体だったらこーしたらどうか?など)を伝えるようになってきた。
そしで、晴れて目標としていた会に参加することができたのだ。
会が終わってホッとしたのも束の間、次の会にはこーやって参加すると次なる目標も今の課題も抽出してきたのだ。
さすがだな。と思ったのだ!
病気を患うことは確かに、失うもの、諦めることも多い。しかし、アイデンティティや「あなたらしさ」を失う必要はない。
Sさんは自分らしさを追求すべくできること、やりたいことに貪欲に取り組んでいるのである。
オジ様にしかり、着物を着たいという強い気持ちのSさんしかり、
この姿をみて
きっとあのDAIGOも言うだろう。
RSI
「らしく生きる:Ra Shiku Ikiru」
いぇーぃだぜ。
2025.11.14








