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カテゴリー: お知らせ

マザース通信 9月号 Vol.41

2021.9.1発行

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✓ 訪問看護あるあるピクトグラム

✓ 連載第9話!訪問あるある4コマ漫画

✓ Rehastagram (リハスタグラム)

✓ 2021.9月  空き枠情報


 

 

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2021.09.01

訪問4コマ⑨「物差しとメジャー」



皆さん、ALSという病気を一度は聞いたことがあるだろうか?

ALS(筋萎縮性側索硬化症):手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていく病気である。

 

私が初めてALSの方と出会ったのは社会人となり3年目のこと。出逢ったAさんはALSを患って長く、人工呼吸器を装着し、足は自身で動かすことができず、コミュニケーションはまぶた使いYES・NOにてはかっていた。ALSの方にお会いしたのが初めてだけではなく、在宅にて人工呼吸器をつけ生活をしている方に会うのも初めてだった私は、当時とても緊張していたのを覚えている。前任者から担当を引き継ぎ、私1人でリハビリを開始する際も何を話せばいいのだろう?どうすればいいのか?ずっと緊張しっぱなしだった。

 

私の勝手なイメージかもしれないが、、、
リハビリという仕事は病院で行うリハビリと在宅で行うリハビリ、向き合い方が違うと感じる。

病院でのリハビリは「病気、疾患と向き合う」在宅でのリハビリは「人生と向き合う」

 

Aさんとのリハビリは教科書に書いてある、大学で習ってきたリハビリや、自分の物差しだけを武器にして仕事をしていた私にとって、壁打ちテニスをやっているような感覚であった。

『私は何のために、何の目的に、そして、何ができるのだろう。。。』

パコーン

パコーン

私の1人テニスは続く。。

 

そんなAさんの生活は、驚くことばかりであった。Aさんの家では可愛い小型犬を飼っていた。緊張しっぱなしの私は『大丈夫なのかな?』とただただ不安に感じていた。

人工呼吸器使ってるのに、、、とか。

ワンちゃんが悪さしないかな?とか。

そしてそんなある時、散歩に出てみよう!という計画が持ち上がった。

『さ、さ、散歩?』

私の心の第一声である。

私の声をよそに、家族含め、関わっているヘルパーさん、医療機器メーカーの担当者さんなど集まり、何が必要なのか?いつにするか?など話が進む。

その中で私は何を担えばいいのかわからなかった。ただただ進む計画を聞き、ドキドキしていたのである。

 

いよいよ決戦の日(笑)確たる準備をし、、、といっても実際に準備をしたのは玄関から道路に出る際、車椅子が通る為のスロープを用意しただけ。あと決めたことは、誰が何を運ぶか。人工呼吸器を誰がもって、車椅子を誰が押すのかなどゆる〜い計画にて実行されたのである。
『大丈夫なのかな?』私は不安ばかり抱いていた。

 

実際散歩は家の周りを20〜30分ほどグルーっと回った程度であったが無事ミッションクリア!Aさんは何年かぶりの散歩を堪能したのである。

ほっと一息、Aさんに感想を聞く。

「楽しかっですか?」

『パチリ!』瞼が閉じる。

ふと私の頬が緩む。

その時だ。ふぅ〜と肩の力がぬけたのを感じた。

『これでいいんだ!』

そう感じた。

ついつい専門職であると、知識ばかりが独り歩きし、利用者さんの希望や人生と向き合ってないことがある。もちろん専門職としての責任は放棄してはならないが、押し付けになってはならない。

一緒に散歩をするという壮大な計画は、Aさんにとってもそして私にとっても大きな変化になった。

今日もワンちゃんはAさんの周りをウロウロ。たまにAさんのベットの上にのりバタバタと跳ね回っている。

わぁっ!と未だにびっくりする私、、、

ふと、Aさんの顔を見る。

苦痛でもなく、笑顔でもなく、じっと天上を見つめている。私からも特段話しかけはしない。

 

可能性を語り始めたらキリはない。しかしその可能性に目を向けず、正しいことを全うすることは果たして、本当に正しいのか?

私は改めて自分の無力さを感じると共に、嬉しさとワクワク感を感じていた。自分の無力さを感じてから私の武器は、物差しではなくメジャーとなった。その人その人で長さが変わるメジャー。限りのないメジャー。引っ張ればどのくらい伸びるのかな?

 

今日もワンちゃんはAさんの上に乗り動き回る。

んんっ?

案外、私よりもリハビリ上手いんじゃないか?

極上のリラクゼーションなっているのか?

ワンちゃんめ!

私はメラメラとライバル意識を燃やすのであった(ΦωΦ)

 

— 完 —

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2021.08.30

マザース通信 8月号 Vol.40

2021.8.1発行

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✓ 祝!開設6周年!

✓ 連載第8話!訪問あるある4コマ漫画

✓ 健康雑学クイズ

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✓ 2021.8月  空き枠情報


 

 

※PT・OT経験者:積極採用中!詳しくはこちらまで!

2021.08.12

訪問4コマ⑧「ココロ踊るリハビリを、、、」



今、このコラムを書いている時、テレビでは大谷君フィーバー!ホームランダービーやオールスターゲームと毎日ドキドキワクワク、どんな結果が出たのかと楽しみでたまらない。

さてさて、私は常日頃からドキドキ、ワクワク、『明日が楽しみになるリハビリを!』をスローガンのもと仕事をさせていただいている。ドキドキ、ワクワクはどんなことでもいい!もちろんリハビリの専門職の身としては「身体が良くなった」「◯◯ができるようになった!」と達成感を得てもらえると、専門家冥利に尽きるのである。

 

 

私が担当しているのは、Aさん:80代前半の女性。
少し認知症が進み、自身の管理がだんだんできなくなってしまった。年々歳を重ねるごとに気持ちも後ろ向きになってきてしまっている。

口癖は
『もうだめぇ』とか『今日は無理ぃ』だとか。。。

そんなAさんは世の中のことには敏感だ。テレビを見ながら世界のどこかで起きてる暴動に対して憂いたり、ちょっとやってしまった政治家さんに怒ったりと、意外と忙しないのである。

Aさんへの私の役割は、だんだん活動量が減ってきているので運動を行って現在の身体機能を維持していくことと、運動を通しての精神賦活だ。

 

 

私は常日頃から思うに「ココロが動けばカラダは動く!」と根拠のない仮説を立てている。

あっ!あそこにいきたいわぁ。
あっ!あれを食べたいわぁ。

なんて動機(ココロが動く)があると人はそのために活動する。

動機も様々で自分の利益に対しての動機もあれば、誰かのための動機もある。

『娘がなーーんもやんないから、こんな歳になってまで私がご飯の支度しなきゃならないのよ』と愚痴をいいながらも毎日家事に勤しんでた方が、その必要がなくなった途端、特別病気になったわけでもないのに認知症が進行したり、身体機能が低下したりするのはよくあることだ。

もちろん、『動かなくなったらどんどん悪くなるよ!』という動機付けも間違いではないが、私はポジティブな動機をいつも探している。

◯◯はずっと自分でやりたいから動けなくなったら困る。だから運動する!というポジティブな動機付けは、運動自体も効果が高いように感じるのだ。マイナスな動機付けは、自身のできなくなった変化に囚われやすく、できていることになかなか目が向かないからだ。

 

 

さてさてAさんに話を戻そう。

まずはAさんの動機を一緒に探っていかなければ。。。

Aさんのポジティブな動機を探しつつリハビリは始まった。
コミュニケーションを通して、過去の体験を探ったり好きなことを聞いたり。
認知症による物忘れのため、なかなか事が定着していかないのも考慮しつつの作業である。

ある時、Aさんはテレビを見ながらいった。
『ホント、この子素敵!』

この子とは、そう、大谷 翔平選手。

『ホント素敵よねぇ~~。顔もいいし、爽やかだし、気持ちがいい!』

遠い異国の地で活躍する大谷君は、ひとりファンをゲットしたようだ。

そして、Aさんはおもむろに大谷君の経歴や家族構成など語り始めた。なんでもない会話かもしれないが、私はびっくりしたのである。

なぜならAさんは薬を飲んだそばから薬を飲んだことを忘れ、食事を摂ったそばから『食べたかしら?』と自問自答しているのが日常なのである。そんなAさんが、私が知らない大谷君情報を熱く語り始めたのである。

 

 

『こんな若い子が外国で頑張ってるんだから、私も頑張らないとね!』

大谷君は1人の女性のココロを動かしたのだ!

よしよし調子がいいなぁ!
と思った私はAさんに聞いてみた。

『Aさん、私の名前覚えてます?』

『・・・ごめんなさーぃ。忘れちゃった。。。』

私はAさんのココロを動かすには、まだまだ修行が足りないらしい、、、

 

— 完 —

produced by hyoudou

2021.08.05

訪問4コマ⑦「健康ってなんや!?」



 

「健康志向」とか「アンチエイジング」とかテレビをつければ身体にいい情報がたくさん流れてきて、新聞を開けば体に悪いことは!?と見出しに目を奪われる。

きっと、ひと昔前とくらべて自分の身体のことに関心を持つようになったのはとてもいいことだと思う反面、沢山の健康情報に囚われているのも真実。

この仕事をしていると、ついつい目と耳が健康情報向くのは職業病といえよう。

理学療法士っていう仕事をしていると、ケンタッキーを食べながらもついつい関節を確認してしまうのは私だけだろうか?

 

 

さて、そんな健康説をことごとく潰してくれたのがだれでもない、Mさんだ。
・・・専門家もお手上げである。

Mさんのリハビリの依頼内容はこうだ。
『家から出ない、ディサービスもいきたくない。なので、家の中でリハビリをお願いします!』

 

よくあるパターン。
引きこもり高齢者、だんだん身体機能が低下してくるというのがセオリーだ。

 

しかし、出会ったMさんは違った。
たしかに引きこもり高齢者。
ここ数年間、家から一歩も出ていない。特段、運動もしていない90代。

しかし目の前のMさんは、どこにそんなパワーがあるのかと思うほど。。。身体は痩せっぽっちにも関わらず、階段もすたこらさっさと昇り降り。正座はできるは片脚でバランスをとるわ、挙げ句の果てには、若いころに習っていた合気道の型をさーっと取ることができる。

感動したわたしが「動画を撮らせて欲しい」と熱望すると、得意気にサービスポーズでも構えてくれる。

理学療法士も目が点だ。

何を食べればこんなに健康なんだ?何をすればこんなに運動機能高く維持できるんだ?
誰もが抱く疑問だ。

私はリハビリそっちのけで、興味津々、目がルンルンだった。

 

しかし当の本人Mさんは、、、

好き嫌いは多いし、野菜は食べない、運動も嫌い。体に良いことはなーーんもやってないときた!
お肉も嫌い、ご飯はちょっぴりしか食べない。カントリーマアムは大好き!笑

どこの書籍を開いても、そんな健康法は書いていない。
カントリーマアム健康法があるなら私はやっているはずだ!!!

 

リハビリの回数を重ねるごとに謎は謎を呼ぶばかりである。

そんなMさんと長く付きあうにつれて、ひとつ感じたことがある。

 

 

「それはMさんは無理をせず、そして心穏やかであること」

 

 

高望みをせずあるがまま、誰かに勝つことよりも自分らしさを生涯貫いている。

 

ある日脳トレと称して、ことわざ穴埋め問題をおこなった。

問1)石橋を◯◯◯◯渡る。

Mさんの回答
『石橋をおどって渡る』

人生そんなに慎重にならなくとも、いかなる困難も踊っていこうぜぃ!

Mさんらしい回答である。

その回答を聞いた私は、Mさんの長生きの秘訣を感じた。

穴埋め問題としては、不正解も、、、

人生を生きる手引きとしては大正解であった。

人生踊って渡り歩く。
むーー。今の言葉だとパリピか!?

 

— 完 —

produced by hyoudou

2021.07.05

マザース通信 6月号 Vol.38

2021.6.1発行

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マザース通信_2106


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2021.06.09

訪問4コマ⑥「えっちゃんとの出会い」

4コマ_2105

 

えっちゃんとの出会い。

あえて、イニシャルではなく、えっちゃんと呼ばせてもらおう。

えっちゃんは私にとって忘れられない、いや、忘れようにも強烈なキャラクターが脳裏にべったりとへばりついているのだ。

えっちゃんは前向きだ。

えっちゃんは若くして病気を患った。30代ではなかろうか。出産を機に脳出血を患ってしまったのだ。

人はこの状況を可哀想だと思うかもしれない。
えっちゃんは前向きだ。

当時は今のように介護保険は整っておらず、身体に障害をもち生きていくのはきっと容易ではなかったと思う。きっと悔しい思いも沢山したであろう。

人はこの状況を気の毒に、、、と思うかもしれない。
えっちゃんは前向きだ。

長く一人暮らしをしてきたえっちゃんだが、ある時転んでしまった。転んだ際、腰椎に怪我をしてしまい、いわゆる対麻痺、両足が麻痺して動けなくなってしまった。

人はこの状況を自分の人生と比べて、どこかほっとしているかもしれない。。。

 

えっちゃんと初めて会った時のこと

ピンポーン

私『こんにちわー』

えっちゃん『先生〜。いらっしゃーい。助けてー。』

扉を開けると、車椅子から今にも落ちそうなえっちゃんが笑顔で手招きしている。

カオス。。。

えっちゃん『夢中になってたら身体が落ちちゃった』

すぐさま助けに向かう私である。

そんな状況は屁でもないえっちゃんだ。
えっちゃんは公営住宅にて一人暮らし。ヘルパーさんの手を借りながら生活をしている。
会った時は60代。まぁまぁのおばさんだ。
しかしココロはピンク色のえっちゃんだ。

『先生はどんな人がタイプ?私のタイプ分かる?』

えっちゃんトークの始まりである。

えっちゃんのタイプは言わずもがな、壁に嵐の松潤と巨人の高橋由伸の切り抜きが、ババババーーーンっと貼ってある。

『松潤ですか?』と私。

『えぇーーなんでわかるのー?かっこいいよねぇ』

はぃわかりますとも。
頬を赤くして、熱く松潤を語るえっちゃん、ときめきを忘れてない。
えっちゃんはよくやらかす。

普段は電動車椅子を乗って生活をしている。
そのスピードたるや、車椅子暴走族と言われるくらいだ。

『先生、昨日ねセブンイレブンまで買い物に行ったの。うっかり段差を登れなくて車椅子ごと倒れちゃった。』

笑いながら報告するその顔はガキ大将そのものだ。
全く、反省すらしていない。
えっちゃんの目標は明確だ。

『自分の足で立ちたい!』

手間はかかる物の、スタンディングリフトを使用してトイレに行くことを習慣にしている。

自分の好きなこと、やりたいことが明確でありそれに対しては貪欲に求める。

 

長年、訪問リハビリにてお手伝いしていて思うのは、何がしたいか、どうしたいかがわからないことが少なくないことだ。

入院していると『退院』することが目標となり家に帰ってからあーしたい、こーしたいという具体的な目標がなく、あれよあれよと月日が流れてしまっていることが多い。特に病気を患ってしまったことで、見えるはずの目標が見えなくなっていることも。。。

しかし私は、利用者さんにとって伴走者だ。押し付けがましい目標は達成することも、満足感も得られない。

私は常に思う。どうしたら利用者さんが毎日が楽しくなるだろう。明日が楽しみになるだろう。目標が生まれるだろう。

 

そんなとき思い出すのはえっちゃんだ。

残存機能を生かすとか、障害受容とかそんな言葉では言い表すことできない、何かがきっと生きることに貪欲になったり、楽しみになったり、行動を起こすのだろう。

 

 

えっちゃんは言う
『先生も美人だけど、私にはかなわないわね。』

はぃはぃ。そうですね・・・

 

— 完 —

produced by hyoudou

2021.05.31

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